大阪市では水道管の更新は年間平均60キロのペースで進めているが、既に耐用年数を過ぎている配水管の更新だけで25年はかかる計算だ。担当者は「事故が起きないよう地盤が緩い場所などにある管を優先的に更新している」と話している。8%の堺市では今年度約29キロ分の老朽管を更新する予定で、更新にかかる予算は24億4600万円にのぼる。神戸市では6%、京都市は13%が老朽化している。
一方、全国では上水道管の総延長61万キロのうち、耐用年数を過ぎた管は6%超の約3万8000キロ。70年代に集中整備されたため今後一斉に更新期を迎え、10年後に2割、20年後には4割を超える見通しだ。
老朽化が原因とみられる漏水事故も目立つ。大阪市では01年、中央区で1922年敷設の水道管から大量の水がわき出し、道が冠水。05年には阿倍野区でも70年以上前に埋設した水道管が破裂、周辺の約1500戸が断水した。
長崎県佐世保市では昨年11月、用水路から水が噴き上がり、断水は周辺約1500世帯にのぼった。用水路下に敷設された直径25センチの管に約10センチの亀裂が見つかった。厚生労働省によると、被害が100世帯を超える漏水事故は08年度までの3年間に全国で少なくとも年間14〜19件起きた。老朽化で家庭などに届くまでに管から漏れる水量は年間供給量の7%にあたる11億トンに上る。
水道事業は市町村などの事業者が住民からの使用料金で運営している。しかし、水需要の伸びは期待できず、経営環境は極めて厳しい。水道事業者でつくる日本水道協会は「財政事情が厳しいのに、地方の首長の中には、選挙などの際に使用料の引き下げを訴える人もいる。事業効率化は大前提だが、住民も負担の在り方を真剣に考える必要がある」と訴えている。【小林慎、佐々木洋、山田英之】
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